相談事例

2018.02.08更新


第1 性格の不一致と離婚


 

日本で離婚をする夫婦の離婚原因で一番多いのが「性格の不一致」であるといわれています。
もっとも,「性格の不一致」は一般的に離婚原因として認められないので,で離婚をしたいと考える場合において,配偶者が離婚を望まない場合には,離婚をするのは非常に困難です。
「性格の不一致」の事案で,離婚をご希望する場合には,別居を検討してみるのも良いのではないかと思います。
別居期間が相当長期に及べば,それを考慮し,離婚が認められるケースがあります。
この別居期間がどの程度必要なのかについては議論がありますが,3~5年間とみられています。
そして,調停や裁判で離婚を求める場合には,この別居期間については,裁判官が最後に判決を出す時点までに3~5年間経過していればよいと考えます。
そうすると,調停では半年~1年,裁判では1年~1年半の期間を要することを考慮すれば,「性格の不一致」事案で配偶者が離婚に消極的であるものに関しては,別居してから1年半~2年程度経過していれば,申立を始めてよいと考えます。


 第2 同居義務との関係


 

もっとも,夫婦には民法上同居義務(民法)があるので,相手方は,正当な理由がなく同居義務に反していると主張してくる可能性があります。
こちらからは別居に正当な理由があり反してないと主張していくことになります。
通常,同居義務違反のみを取り出して慰謝料請求を裁判所に提訴することはなく,基本的には離婚協議,離婚調停あるいは離婚裁判の中で検討されることになります。
ただし,相手方の感情によっては,同居義務違反に基づく慰謝料請求だけを裁判所に提訴することもあり得,その場合には幾らか支払うようにとの判決が出る可能性があります。
性格の不一致に基づき離婚を目指す以上は,ある程度のリスクを負うのはやむを得ないところだろうと思います。
むしろリスクを一切負わずに,困難な成果を勝ち取ることは難しいと思います。


 第3 さいごに


 

1 同居義務は強制可能か
同居をするようにとの審判が出るとしても,直接的にも間接的にもそれを強制することはできず,別居を継続することは可能です。そして,別居を継続して,離婚原因を作っていくことになります。

2 婚姻費用(生活費)の支払について
通常別居をした場合には,夫側から妻側へ生活費として婚姻費用を支払うことになりますが,賃金額に差がない場合には0万円となることがあります。
とはいえ,性格の不一致により離婚をするために別居をした場合には,こちらの正当性を高めるために,ある程度婚姻費用として支払っているという実績を作った方が,戦略的にはいいかもしれません。


弁護士 結城 祐(ゆうき たすく)
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投稿者: 弁護士 結城祐